serial experiments lain 2020 eXhibition

Date
2020 - 2024 (Closed)
Client
Anique Inc.
serial experiments lain 2020 eXhibition
serial experiments lain 2020 eXhibition Screenshot1 serial experiments lain 2020 eXhibition Screenshot2
serial experiments lain 2020 eXhibition Screenshot3

「serial experiments lain 2020 eXhibition」は、Aniqueによる世界初となるアニメのオンライン展覧会。
1990年代の伝説的アニメ『serial experiments lain』の資料やシーンをWeb3Dで構築したサイバースペース上で鑑賞できるサービスです。

2020年の当時はコロナ禍の初期であったため、さまざまなイベントの開催が困難になり、中止を余儀なくされる状況でした。アニメ作品のアートを取り扱っているAniqueでも、都内で予定していたNFTアートのイベントを延期するなどの影響がありました。そこで、作品のファンに喜んでもらえるようなイベントのプラットフォームをオンラインで作れないか? というモチベーションが生まれ、「オンライン展覧会」企画がスタートしたのです。Webサイト上にNFTアートが展示され、友達とオンラインで会話をしながら企画展を楽しめる。それにはマスクも消毒も必要ない。Aniqueが目指したのはそういう世界観でした。

美術館やギャラリーをバーチャルで再現したものはすでに世の中に数多くありました。そういったサービスにありがちな課題として、3D空間の中を移動する操作が洗練されていないという点があると思います。移動するには画面に配置されている複数のボタンを使い分けたり、視点をユーザー自身で常に調整する必要がある。その操作が煩雑で、作品をじっくり見るのではなく空間を操作すること自体が体験の中心になってしまうのです。例として、ルーブル美術館のサイトではバーチャルツアーが提供されていますが、これはまさにそういうUI/UXになっています。

ファンは作品や展示を見たいのであって、操作を楽しみたいわけではありません。それがサービスを設計するにあたって、違いを生み出すポイントになりました。私はストレスなくアート鑑賞ができるように、マウスホイールやスクリーンのスワイプだけで展示空間を移動できるインタラクションをデザインしました。

操作の課題を解決しただけでなく、空間側でもユーザー体験を高めるデザインをしています。展示は複数の展示室にモジュールで分割できるようにし、その間をトンネルでつなげる構成を採用しました。暗い通路を抜けるとまったくコンセプトの異なる別の展示室が現れるという流れができ、よりドラマティックな体験ができようになっています。また、リアルの美術館や展覧会と同様に、順路の最後には物販のコーナーがあります。展示を通じて作品に対する思いを深め、その感情や熱量をグッズ購入という形で昇華できるようにしました。

このプラットフォームは「lain」展を皮切りに、アニメ・漫画・ゲームのオンライン展覧会へと展開。中でも「進撃の巨人 オンライン展覧会」では30万人以上を集客し、成功を収めました。


©NBCUniversal Entertainment Japan / Anique Inc. All rights reserved / UX Design, UI Design, Graphic Design: Emotionale

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